店舗内装する際には、デザインはもちろん、何より設計や施工を依頼する事務所選びは重要です。

それは、デザイン事務所と二人三脚で進めることになるからです。

ここでは、店舗デザイン事務所の選び方、依頼から引き渡しまでの流れ、費用相場についてご紹介します。

そもそも店舗デザインとは?

店舗施工する際には、まず初めにどのような店舗にするのか決定しなければなりません。一般的に、その設計のことを店舗デザインといいます。既に店舗がある状態で内装設計だけ行う点が、建築設計とは異なるところになります。具体的には、壁、床、天井などに関して、色や素材を検討することが挙げられ、これらは常に視界に入るものなので、どう選択するかで店内印象が大きく変わる要素です。組み合わせによっては、高級感を演出できたり、実際より広く見せたり、色々な効果を得られます。色彩や空間に対する感性が重視される作業であることはもちろん、細かな数値を用いる作業も多く、店舗面積を計算して家具の大きさも考慮するなど、店舗全体のレイアウトを決定していきます。決定レイアウトは図面にしますが、初段階ではラフなイメージ図を描く程度で、最終的には施工に使用する緻密な設計図を作成します。オープン後でも家具変更は可能ですが、大きくレイアウト変更はできないので、しっかりと店舗デザイン段階で検討することが重要です。

店舗デザインの依頼方法とは?

まず一つ目は、デザインと設計業務のみ請け負う会社です。デザイン事務所には、高いデザイン力を持ったデザイナーが在籍しており、デザイナーがオーナーの意向を元に図面を起こします。ここでは、施工は行わず、別の施工業者が改装工事を行う形になります。設計会社と施工会社が別々という訳です。なので、図面完成後に施工業者選定や見積もりを行うことになり、設計から施工まで一貫して請け負う会社より、店舗完成までに時間がかかります。デザイン専門設計事務所は、デザイン性に富んだ図面が作成できる一方、改装工事費用は高く、時間もかかります。
 
次に2つ目は、設計と施工を行う内装会社です。設計から施工まで一貫して請け負う会社になります。デザインのみとは違い、施工まで一貫して行うので、設計から着工までスムーズに進んでいきます。改装工事期間も短く、1つの会社で全てを行うため、予算や仕様の変更なども柔軟対応できることが挙げられます。デザイン専門事務所と比べると、デザイン力は劣る可能性はありますが、一貫作業を依頼できるので手間が少なく済みます。最後3つ目は、施工のみの業者です。専門デザイナーなど在籍しておらず、主に、施工メインの請け負い会社になります。設計もできますが、施工メインなのでデザイン力は劣る部分もありますが、直接、職人さんの元にお願いをするので、施工費用は安く抑えることが可能です。依頼費用が抑えられ、また、場での融通が利きやすい点はメリットです。

デザイン依頼する際の流れ

デザイン事務所に依頼をした際に、最初に行うことはデザイナーとの打ち合わせです。店舗コンセプトをデザイナーに伝えるので、事前にイメージに近い店舗写真など集め、上手く伝えられるように準備しておくことが大事です。イメージと違えば、要望を伝え直して修正してもらう形になります。イメージ通りであれば、デザイン設計の詳細決定作業に入ります。店舗の具体的なデザインを設計図に仕上げます。そして、次に施工会社の選定を行います。一般的には、デザイン会社から候補を紹介してもらうパターンですが、別の方法で探してもOKです。施工会社を選んだら、依頼を済ませて着工に入ります。竣工を迎えて、電気や水道などが問題なく使えることを確認したら、引き渡しを済ませて完了です。

店舗デザインの費用相場

店舗デザイン費用の内訳

設計費は、店舗の内外装デザイン、設備位置、動線・レイアウトの決定、パース画、図面作成費用などが挙げられます。金額は、デザイン会社、物件の種類や規模により変動があります。一般的には、店舗面積、または、施工費全体の割合から決めます。一方、施工費は、図面を元に内外装の施工、インテリア家具制作、電気・ガス・水道といった設備工事費用などが挙げられます。居抜き物件ではコストを抑えられ、スケルトン物件では1000万円単位の施工費がかかる場合もあります。また、その他費用に、物件の契約時期や設備状態で空家賃や追加施工費がかかる場合もあります。

主な費用項目と相場

設計費

設計費というのは、打ち合わせで依頼者の要望や完成イメージを聞き、パース画や図面を作成する際に必要な費用です。商品棚、レジスペース、テーブル、椅子などの配置をはじめ、空調設備やBGMスピーカーの位置まで、空間デザインは基本的に設計段階で決まります。設計費の算出方法は主に2つ挙げられます。まず1つ目は、店舗面積から決める方法で、1坪あたり約3万円~10万円前後が相場です。狭い店舗になる程1坪単価は高く、広くなればディスカウントされていきます。また、店舗業態でも設計費は異なり、小売店は比較的安く、排気や給排水などの配慮や保健所対応もする必要がある飲食店は、費用は高い傾向にあります。テナント出店で商業施設の内装監査室と打ち合わる場合も、料金上乗せになります。そして2つ目は、総施工費全体から決める方法です。内外装、電気・ガスの工事、インテリア家具、看板制作など、施工費総額を見積りした上で、一定割合の設計費を割り出します。平均相場は、総施工費の約10%~15%前後で、JCDのマニュアルでもこの%が推奨されています。一般的に、店舗デザイン・設計だけを手がける会社は前者、施工まで一貫して請け負う業者は後者で算出することが多いです。

施工費

施工費は、図面に基づいた施工にかかる費用です。内訳には、塗装や壁紙の貼り替え、床上げ・床の貼り替え、インテリア家具や看板制作、電気・ガス工事、厨房機器の費用などが挙げられます。施工費は、店舗物件状態によって大きく変わり、一般的にスケルトン物件は居抜き物件の約5倍のコストといわれています。前の借主が施した空調、インテリア、厨房機器などが残った状態の居抜き物件では、相場は約200万円~400万円前後です。看板制作、照明設置費用、塗装、壁紙の貼り替えの費用などが含まれています。加えて、配管位置の変更や、ガス設備の増設などを行う場合は、料金は高くなります。一方、床や壁がコンクリート剥き出しのスケルトン物件では、ゼロから施こしていくので、費用は店舗業態や規模でも変わります。たとえば、新たな商業施設に、スケルトン物件で約20坪~30坪前後の飲食店を出店する場合には、平均相場は約1000万円~2000万円前後で、内外装、レジ設置、給排水・ガス新設工事、電気配線工事などの費用が含まれます。

物件タイプ別の費用相場

居抜き物件

たとえば、小売店の場合には、大がかりな給排水設備、電気やガス設備などは不要なので、従業員用トイレや簡易的な給湯室があれば問題ありませんよね。居抜き物件でデザインするのであれば、前の借主の設備をそのまま活用することができます。仮に、8坪~12坪前後の居抜き物件で小売店開業する場合、費用相場は約200万円~300万円前後が目安です。内訳は、外装工事に約20万円~30万円、内装工事に約80万円~120万円、制作・設置工事に約80万円~120万円、全体の設計・デザインに約20万円~30万円といったところです。物件状態が良く、壁材やインテリア家具を使用することが可能であれば、費用をさらに下げることもできます。
また、サービス業の場合は、お客さんの店舗滞在時間が長いので、サービスの質をはじめ、店内の雰囲気や居心地の良さも大きく影響する部分になります。居抜き物件でも、店舗デザインには時間をかけ、サービスコンセプトや客層に合った空間を完成させたいところです。仮に、15坪~20坪前後の居抜き物件で全面リニューアルして開業する場合には、費用相場は約400万円~600万円前後が目安です。内訳は、外装工事に約20万円~40万円、内装工事に約100万円~150万円、設備工事に約150万円~200万円、制作費用に約100万円~150万円、全体の設計・デザインに約30万円~60万円といったところです。

スケルトン物件

スケルトン物件の場合は、ゼロからの設計・施工なので費用は高くつきます。また、消防署やビル内装監査室、業態によっては保健所対応も必要なので、その分は費用が上乗せされます。たとえば、新規オープンの商業施設内に、20坪~30坪前後のテナントを借りて開業する場合、費用相場は約1200万円~1800万円前後となります。内訳は、外装工事に約80万円~100万円、設備工事に約500万円~600万円、内装塗装に約350

デザイン事務所の選びのポイントとは?

店舗づくりを行う際には、依頼するデザイン設計事務所を決めていきますが、選定するためのポイントを考慮しましょう。ポイントには、自分が行う店舗業種が得意か、デザインセンスが好みであるか、価格帯予算と合うか、気軽に相談できるか、これらのポイントが大事になってくるでしょう。
重要なのは、自分の店舗業種を得意としているかです。店舗設計では、ノウハウがとても重要なので、得意分野であれば、営業効率やお客様の居心地良さなど、様々なノウハウを活かした工夫した設計が可能です。しかし、全く経験のない業種の場合はそうはいきません。なので、過去のデザイン例を見て、イメージや好みとあっているかの確認も大切です。デザインには、設計者の好みなどが特徴として現れやすいので、自分のイメージや好みとマッチしている事務所選びがポイントになります。どれだけ有名事務所でも、デザインが好みでなければ、仕上がりに満足はできないでしょう。過去の事例を見ながら、「こういう感じが良い」「こんな風にしたい」と思えるデザイン事務所を選びましょう。
また、店舗設計にはデザインが必要ですが、事務所によってデザイン費用は異なります。素晴らしい店舗づくりをしてもらえそうでも、予算に合わなければ依頼は無理ですよね。なので、どの程度の予算で行うのか決定した上で、予算内でデザインしてもらえるかの問い合わせや相談が大切です。その問い合わせや相談の中で、丁寧に対応してくれる事務所の見極めも重要です。しっかりした応対のデザイン事務所を選びましょう。

まとめ

ここでは、店舗デザイン事務所の選び方、依頼から引き輪致しまでの流れ、費用相場などについてお届けしてきましたが、いかがでしたか?

どんなに有名なデザイン事務所でも、自分のイメージに一致するデザイン提案してもらえなければ、理想の店舗の完成は難しいです。

店舗の種類でも、デザインのポイントは変わります。依頼する際には、得意分野の業種と一致しているかも見極め、最適なデザイン事務所を選びましょう。

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